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西暦2xxx年 春 日本
「ふっ………ついに出来たわ」
深夜一時をまわる頃、呟くような声が部屋に響く。
バンッ、と大きな音ととも作業着に身を包んだ人間が、肩を震わせながら現れた。
服も頬も汚れボサボサの髪の毛は手入れという言葉を知らぬ程。
周囲に散乱した専用工具類の中央には、ひと一人乗れるくらいの大きな球体が鎮座していた。
「これがあれば空飛ぶ兵器なんかに乗らずとも、海外へ行ける…」
ふふふ…
若干、別次元へ飛んでいった意識で操縦席へ座る。
爛々と輝いた目で最終確認を行う。
不法侵入で捕まらぬよう、パスポートを忍ばせる。
日本円をいくらか持ち、少しの携帯食料と水を一本。
あとはその身一つ。語学も大体極めたから問題ない。
シートベルトを締め、青く光るボタンに触れる。
「さぁ…いくわよ……」
そのスイッチがいままでの生活に終止符を打ち
新たな始まりになろうとは――
胸を高鳴らせる彼女は知る由もなかった
ガ、ガンッ ドゴーン
壮麗たる滝を背景に、厳かな雰囲気に包まれている謁見の間。
敵国キムラスカの王族二名が、マルクト皇帝と顔を突き合わせている。
マルクト領土内にあるセントビナーが、崩落の危機に晒されているのである。
原因を作った贖罪と、純粋に住民を助けたいという気持ち。
戦争回避という重大任務を背負い、新たに和平を結ぶべく再出発をしようとしていた。
その時だ。冒頭のような不釣り合いな爆音が響いたのは。
ついさっきまで何もなかった空間に、突然足付きの球体が現れたのだ。
驚きのあまり誰も動けない。
灰色の煙が隙間から洩れ、内側から鉄を蹴る音が響く。
5、6回鈍い音が鳴ったあと、ゴシャッと扉が吹っ飛んだ。
そこに人がいなかったのが幸いだった。
ストレートに飛ばされたそれは壁にぶつかりヒビを生んだ。
「おっかしいな~。着陸もしっかり計算したのに……」
頭部を掻きながら捻った首を治そうと、そこをマッサージする。
眩しい外に目を細めきょろきょろと周囲を確認する。
見慣れぬ顔の作り。見慣れぬ服装。見慣れぬ建物。
これはまさに。
「ぃやったぁーッ!ついに夢が叶ったーぁ!!」
バンザイをしてガッツポーズを決める。
ここがどの国だろうと、日本でないのは間違いない。
それだけで今までの努力が報われたというものだ。
「で、えーと…ここはどこだ?」
服装、は結構特殊みたい。身軽に動けるようなぴったりとした格好だ。
髪の色はカラフルで訝しげにわたしを見ている。
改めて自分の姿を見下ろすと、酷かった。 そういえば風呂にもろくに入ってないっけ。
ぐるりと人々を見渡して、一番話し掛けやすそうな赤髪に近づく。
「ねぇ、悪いんだけどさ。此処がどの国だか教えてくれる?」
「え、俺?」
「うん。あ、もしかしてキミも分かんなかったりする?」
「いや、わかるけど…おまえ誰?」
「わたし?わたしは……」
名乗りかけて、突き付けられた刃物に黙った。
赤髪の彼と距離が離れ、代わりに青に取り囲まれた。
手にあるのは槍や剣だ。いずれも首元に突き付けられている。
「あのー…?わたしまだ何もしてないんですが」
一応、顔の横に手をあげ何もしないよという意志を示す。
示したが、それは全くの無意味だった。
「誰の手の者だ。ヴァンか?大詠師モースか?それとも…」
「は?ちょ、い待って!身分証明ならホラ」
蜂蜜色の長髪男(…だよね?)の殺意の含んだ視線に怖気づきそうになりながら、ポケットのパスポートを投げる。
左手でキャッチしたそれを開き視線を落とされる。
眉間によった皺が、訝しげなそれが驚きに、研究者の表情に変わっていく。
同類の勘だ。
「…陛下。すみませんが一室お借りしてもよろしいですか?」
「あ、あぁ。構わん」
「ありがとうございます。―連れていきなさい」
「はっ」
「は?や、ちょ、離せー!って、それに触るなぁッ」
長い年月を掻け、幾度も失敗を繰り返し。
丹精込めて造り上げた愛着のあるウィングバッグを、ぞんざいに扱われてたまるか。
態勢を低くし武装集団の間をすり抜け、腰に手を掛ける。
備えつけの小道具バッグから小振りなハンマーを取り出す。
触れようとしたおそらく男の肋骨辺りを思いっきり、殴った。
突き付けられた刃物にビビっていた女とは思えない。
「わたしがどれだけ苦労してウィングバッグを造ったと思っている!壊れでもしたらどう責任を取るつもりなんだっ」
「心配せずともそれはもう壊れてますよ」
「………あーーーッ!!」
気づくのおせーよ。
奇しも、この場にいる全員の心の声が一致した瞬間であった。
部屋の中央で放心状態に陥っているたった一人を除いて。
西暦2xxx年 春 日本
「ふっ………ついに出来たわ」
深夜一時をまわる頃、呟くような声が部屋に響く。
バンッ、と大きな音ととも作業着に身を包んだ人間が、肩を震わせながら現れた。
服も頬も汚れボサボサの髪の毛は手入れという言葉を知らぬ程。
周囲に散乱した専用工具類の中央には、ひと一人乗れるくらいの大きな球体が鎮座していた。
「これがあれば空飛ぶ兵器なんかに乗らずとも、海外へ行ける…」
ふふふ…
若干、別次元へ飛んでいった意識で操縦席へ座る。
爛々と輝いた目で最終確認を行う。
不法侵入で捕まらぬよう、パスポートを忍ばせる。
日本円をいくらか持ち、少しの携帯食料と水を一本。
あとはその身一つ。語学も大体極めたから問題ない。
シートベルトを締め、青く光るボタンに触れる。
「さぁ…いくわよ……」
そのスイッチがいままでの生活に終止符を打ち
新たな始まりになろうとは――
胸を高鳴らせる彼女は知る由もなかった
ガ、ガンッ ドゴーン
壮麗たる滝を背景に、厳かな雰囲気に包まれている謁見の間。
敵国キムラスカの王族二名が、マルクト皇帝と顔を突き合わせている。
マルクト領土内にあるセントビナーが、崩落の危機に晒されているのである。
原因を作った贖罪と、純粋に住民を助けたいという気持ち。
戦争回避という重大任務を背負い、新たに和平を結ぶべく再出発をしようとしていた。
その時だ。冒頭のような不釣り合いな爆音が響いたのは。
ついさっきまで何もなかった空間に、突然足付きの球体が現れたのだ。
驚きのあまり誰も動けない。
灰色の煙が隙間から洩れ、内側から鉄を蹴る音が響く。
5、6回鈍い音が鳴ったあと、ゴシャッと扉が吹っ飛んだ。
そこに人がいなかったのが幸いだった。
ストレートに飛ばされたそれは壁にぶつかりヒビを生んだ。
「おっかしいな~。着陸もしっかり計算したのに……」
頭部を掻きながら捻った首を治そうと、そこをマッサージする。
眩しい外に目を細めきょろきょろと周囲を確認する。
見慣れぬ顔の作り。見慣れぬ服装。見慣れぬ建物。
これはまさに。
「ぃやったぁーッ!ついに夢が叶ったーぁ!!」
バンザイをしてガッツポーズを決める。
ここがどの国だろうと、日本でないのは間違いない。
それだけで今までの努力が報われたというものだ。
「で、えーと…ここはどこだ?」
服装、は結構特殊みたい。身軽に動けるようなぴったりとした格好だ。
髪の色はカラフルで訝しげにわたしを見ている。
改めて自分の姿を見下ろすと、酷かった。 そういえば風呂にもろくに入ってないっけ。
ぐるりと人々を見渡して、一番話し掛けやすそうな赤髪に近づく。
「ねぇ、悪いんだけどさ。此処がどの国だか教えてくれる?」
「え、俺?」
「うん。あ、もしかしてキミも分かんなかったりする?」
「いや、わかるけど…おまえ誰?」
「わたし?わたしは……」
名乗りかけて、突き付けられた刃物に黙った。
赤髪の彼と距離が離れ、代わりに青に取り囲まれた。
手にあるのは槍や剣だ。いずれも首元に突き付けられている。
「あのー…?わたしまだ何もしてないんですが」
一応、顔の横に手をあげ何もしないよという意志を示す。
示したが、それは全くの無意味だった。
「誰の手の者だ。ヴァンか?大詠師モースか?それとも…」
「は?ちょ、い待って!身分証明ならホラ」
蜂蜜色の長髪男(…だよね?)の殺意の含んだ視線に怖気づきそうになりながら、ポケットのパスポートを投げる。
左手でキャッチしたそれを開き視線を落とされる。
眉間によった皺が、訝しげなそれが驚きに、研究者の表情に変わっていく。
同類の勘だ。
「…陛下。すみませんが一室お借りしてもよろしいですか?」
「あ、あぁ。構わん」
「ありがとうございます。―連れていきなさい」
「はっ」
「は?や、ちょ、離せー!って、それに触るなぁッ」
長い年月を掻け、幾度も失敗を繰り返し。
丹精込めて造り上げた愛着のあるウィングバッグを、ぞんざいに扱われてたまるか。
態勢を低くし武装集団の間をすり抜け、腰に手を掛ける。
備えつけの小道具バッグから小振りなハンマーを取り出す。
触れようとしたおそらく男の肋骨辺りを思いっきり、殴った。
突き付けられた刃物にビビっていた女とは思えない。
「わたしがどれだけ苦労してウィングバッグを造ったと思っている!壊れでもしたらどう責任を取るつもりなんだっ」
「心配せずともそれはもう壊れてますよ」
「………あーーーッ!!」
気づくのおせーよ。
奇しも、この場にいる全員の心の声が一致した瞬間であった。
部屋の中央で放心状態に陥っているたった一人を除いて。
ヒロインの名前が一回も出てきてない……!
おかしいなぁ。こんな筈では…
ともかくこんな感じの子は初めて書くのですが、なかなか楽しいです
単純なのっていいですね!
ラクで!!←
夢、になるよう頑張ります。
相手は誰かなぁ…
ルーク?ガイ?ジェイド?ピオニー?
あえてのサフィールとか。笑
気紛れ更新になりますのであしからず(・∀・)
おかしいなぁ。こんな筈では…
ともかくこんな感じの子は初めて書くのですが、なかなか楽しいです
単純なのっていいですね!
ラクで!!←
夢、になるよう頑張ります。
相手は誰かなぁ…
ルーク?ガイ?ジェイド?ピオニー?
あえてのサフィールとか。笑
気紛れ更新になりますのであしからず(・∀・)
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